メッセージ

前 日本産婦人科医会 会長寺尾 俊彦

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日本では、いつの間にか分娩が安全神話の仲間になっているようです。しかし、分娩は母児双方にとって「デンジャラス・ジャーニー(危険な旅路)」といわれてきたように、決して安全なものではありません。事実、世界では妊娠や出産で死亡する女性が、今でも1分半に1人、毎日千人、毎年数十万人以上もいます。

日本の妊産婦死亡率は、出生10万人当たり3.6人(2008年)、周産期死亡率は、出生千人当たり4.3人(2008年)、いずれも欧米先進国に比べても低く、日本の周産期医療は世界でもトップクラスにあります。しかし、最近の周産期医療現場では、産科医の減少、分娩医療施設の減少によって、"お産難民"も出現しています。

子どもは、国という家族の大切な一員であり、国の宝です。子孫繁栄は国家百年の大計です。

産婦人科医の使命は、お母さんと赤ちゃんの命を守ることです。そして、「元気ないのち」を次の世代につなぐお手伝いをすることです。

また、母、子、さらに孫へと三代にわたる主治医でもあります。母、子、孫へと「家族のこころ」を繋ぐお手伝いをするのも私達の使命です。

私たち日本産婦人科医会は、昨年、創立60周年を迎えました。これからも社会の皆様と一緒になって、分娩が真の意味で安全神話になるように、そして安心して赤ちゃんを育てることのできる社会の実現を目指しています。

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